日本でもその名を轟かせている、ポールボキューズ氏の本店に行ってきました!エリゼ宮で大統領にも捧げられたというスープを含む、ポールボキューズ氏のスペシャリテのフルコースを楽しむことができます!この記事ではそんなポールボキューズ本店について紹介します。
目次
1.ポールボキューズ氏について
東京のメゾン ポールボキューズを筆頭に金沢のジャルダン ポールボキューズ、東京・名古屋・福岡のブラッスリー ポールボキューズと国内で7店舗を展開しています。そのため、日本でもポールボキューズ氏の名前を知っている方は多数いるかと思います。
数々の逸話でフランスでも伝説の料理人となっているポールボキューズ氏ですが、現在御年90歳を超えても現場に顔を出す精力的な方。つい最近も来日して数々のレストランを巡ったというのは俄かに信じがたいことです。
ポールボキューズ氏の歴史を振り返ってみると、1959年に33歳で実家のレストランを継ぎましたが、その2年後の1961年には国家最優秀職人賞を受賞しています。翌1962年にミシュラン2つ星を、1965年にリヨンの本店でミシュラン三ツ星を獲得して以来50年以上三ツ星を維持し続けています。もちろんこの記録はミシュラン最長であり、近隣のオーベルジュドリルをも上回ります。1987年にはフランスのグルメガイドであるGault&millau(ゴー・ミヨ)から「Chef of the Century」という今世紀最大のシェフとしての賞を贈られています。
地理的に近いこともあり、オーベルジュドリルの前オーナーのポール・エーベルラン氏とも懇意であり、現オーナーのマークエーベルラン氏がポールボキューズ氏の下で修行していたこともあります。
ポールボキューズ氏と言うと真っ先に思い浮かぶのはトリュフのスープですね。
自身の勲章授賞式で、大統領にささげたと言われるスープです。フォアグラテリーヌや牛ほほ肉、黒トリュフをダイスカットし、パイをかぶせたスープです。なんとスープ1杯で1万円もしますが、リヨンの本店で味わうことが出来ます。大統領にささげられた特別なスープだと思うと一度は飲んでみたいですね。
2.店舗情報
ポールボキューズの店舗情報です。
住所:50 Rue de la Plage, 69660 Collonges-au-Mont-d'Or, フランス
電話:+33-4-7242-9090
場所:
地図を見て頂くと分かりますがリヨンの市街からかなり距離があります。
リヨン中心部から約10kmで、車で行くと20分程度です。
私はレストランまではレンタカーで行きましたが、 途中の道も細く、意外に渋滞するポイントがあるので時間には余裕を見ておくといいと思います。場所が場所だけにほとんどの人は車で来ているようでした。また、ポールボキューズのレストランからリヨンの街へ戻る道路にはオービス(速度自動取締機)があるので十分注意してください。
3.ポールボキューズ本店の予約の取り方
私はアメックスのコンシェルジュに予約を取ってもらいましたがお店のホームページから予約を取ることが出来ます。
Webから予約を取る方法はこちらです。不要な方はこちらからスキップしてください。
ホームページの「Paul Bocuse restaurant」をクリック
真ん中くらいにある、「Book a table」をクリック
そうすると、日付、人数、時間帯を選択することが出来ます。
時間帯をクリックすると次の画面に進みます。
名前、苗字、メールアドレス、電話番号の順番に入力します。
日本の携帯電話を入力する場合は
090-1234-5678 の場合 +81-90-1234-5678 となるのでご注意ください。
入力すれば予約完了です。
簡単ですよね!
季節にもよりますが大体1か月前なら予約できると思います。確実に予約をしたいなら3ヵ月前には予約することをお勧めします。夏場は人気も高いですが、私は9月の訪問に対して6月に予約をしても十分とることが出来ました。
4.レストランの外観や雰囲気
車で到着して、駐車場からレストランを見たところです。
。。。この時点でちょっとびっくり。
1階部分はまともなんですが、どうしても視線は異様な雰囲気の2階部分へ行ってしまいます。まるで昭和のラブホテルのような外観に釘付け。
ちょっと趣味悪くないですか。。。?
駐車場からお店へ続く通路です。ここだけみるとオシャレです。
こちらは正面のエントランスです。やっぱり視線は派手な2階に釘付け。
レストランオープンの8時よりも早く着いてしまったため、一番乗りでした。
と思っていたら続々と人がやってきてあっという間に満席に。
内装はこんな感じです。トラディショナルというのでしょうか。ただキンキラキンというか、やはり昭和の洋食レストランのように感じてしまい、私の好みには合いませんでした。
スポンサーリンク |
|
5.メニュー
ポールボキューズのメニューです。
メニューは記念に、といって持ち帰らせてくれたので家でじっくり眺めることが出来ました。
表紙
サービスプレートと同じスタイル
一枚めくるとアラカルトメニューです。
続いてワインリストです。
Mathieu Vialはポールボキューズ本店のソムリエです。
彼のお勧めワインのようです。グラスも良心的な値段で出していますね。
次はコースメニューです。
肝心の値段が切れてしまいました。
Menu Bourgeoisは€225、Menu Classiqueは€165です。
そして注目のメニューです。
Menu Grand Tradition Classiqueは€260です。
Menu Grand Traditionは高く感じますが、
Escalope de foie gras de canard poelee, sauce passion :63
Soupe aux truffes noires :€85
Filet de sole aux nouilles Fernand Point :€82
Volaille de Bresse en vessie :€240
Selection de fromages frais et affines :€35
Delices et Gourmandises :€35
アラカルトでオーダーする場合と比べて半額です。
トリュフのスープやブレス鳥など、スペシャリテばかりで構成されているこのコースは結構とお得だと思います。
もちろん、私の部屋のテーブルは全員このメニューを頼んでいました。
ポールボキューズのスペシャリテコースなので、そりゃそうですよね。
メニューの裏表紙はポールボキューズと今まで掲載されたミシュランガイドです。
改めてそのすごさが分かりますね。
6.待望の料理
サービスプレートです。
ポールボキューズ氏がジッとこちらを見ているのもちょっと。。。
まるで「俺の料理を食べるために来たんだろ」と言われているかのようでした。(大げさ?)
アミューズとしてじゃが芋のスープです。
とても美味しいのですが若干塩味が強かったような?
Escalope de foie gras de canard poêlée, sauce passion
フォアグラのエスカロープ パッションソース添えです。
牛肉のフォアグラ添えのようなものかと思って食べてみると、真ん中の一番大きい塊がフォアグラでした^^;臭みの無いフォアグラの甘味と少しパンチのきいたソースがとてもよく合います。
Soupe aux truffes noires V.G.E (plat cree pour l'elysée en 1975)
V.G.E.に捧げるトリュフのスープ(1975年にエリゼ宮にて)
V.G.Eとは当時のヴァレリー・ジスカール・デスタン大統領のことです。
黒トリュフとフォアグラを小さくダイスカットして、たっぷりと出汁をとったものです。パイで蓋をしてあるためテーブルに運ばれても匂いは分かりませんが、スプーンでパイを崩すと途端にトリュフの香りが立ち上ります。突然トリュフの香りが部屋に立ちこめるので周囲の人が振り返るほどでした。
パイをスープに浸して食べます。中にはたっぷりの黒トリュフとフォアグラ。美味しくないわけがありません。ただ、量が多いのとかなり熱いので注意して下さい。
私たちは美味しかったので思わず食べてしまいましたが、このパイは全て食べてしまわないことをお勧めします。周囲の何人かがパイを残していて、もったいないなぁと思って見ていたのですが、理由はすぐに分かりました。
コースの量が多すぎるのです。前半飛ばし過ぎて後半に何も食べれなくなるパターンです。このスープの時点でも全体の25%に達していないと思った方が良いです。
Filet de sole aux nouilles Fernand Point
白身とパスタのクリームソース
白身魚(名前は聞き取れませんでした)とパスタをホワイトソースで包み、オーブン焼きにしています。実はこの料理、ポールボキューズの師匠のフェルナン・ポワンの料理です。
ただ残念なことにあまりにこってりとした料理で私たちの好みには合いませんでした。魚自体は美味しいのですが、バターをふんだんに使った(というよりは、入れ過ぎた)ホワイトソースはあまりにも重く、なるべくソースを避けて食べてもくどくなってきます。パスタもなぜこの料理に付け合わせる必要なのか理解できません。この一皿だけで全てをぶち壊します。
Granite des vignerouns du Beaujolais
ボジョレーワインのグラニテ
すっきりとした赤ワインのシャーベットです。
風船のような状態で運ばれてきましたが、写真を撮るのが遅く、割られてしまいました。ナイフとフォークで切り開き、目の前でサーブしてくれます。
中からは鶏の蒸し焼きが入っています。一羽分を切り分け、野菜と黒米と共にサーブしてくれます。二人で注文しているので胸の部分がいいか、モモの部分がいいか聞いてもらえます。
Volaille de Bresse en vessie "Mère Fillioux"
ブレス鶏のヴェッシー(豚の膀胱)包み ソース・フルーレット
サーブしてもらったのがこちらです。
ポールボキューズのスペシャリテでもありますが、こちらもフェルナン・ポワンの料理です。
ブレス鶏とはフランス中東部のブレス地方で育てられる鶏で、世界一の鶏と呼ばれています。AOCという原産地統制呼称に定められていて基準を満たさないとブレス鶏を名乗れないそうです。
どのくらいすごいかというと、
・ブレス鶏を飼育するための必要面積は通常のブロイラーの20倍
・1件の農家が飼育できるのは500羽まで
(ちなみに500羽を飼育するためには5000平方メートル必要です)
・ブロイラーと比較して、価格は20~30倍
・95%が国内で消費され、輸出されるのは5%
・日本に対しては毎週200羽ほどしか輸出されない
という、希少な鶏です。
もちろん良好な条件で飼育された鶏は、これは本当にチキンなのか疑いたくなるほど美味しいです。まず肉の繊維自体がしっかりとしていて非常に味わい深いです。一口ごとに肉から旨みが溢れ出てきます。
鶏自体も美味しいのですが、やはり優れているのは調理法。
豚の膀胱で包むと聞くとぎょっとしますが、肉のうまみを逃がさないためのフランスの古典的料理法です。その他にもトリュフやワインなどを詰め込み味をしみ込ませることが出来るそうです。この調理法の欠点は内包物を直接見ることが出来ないので料理の難易度が格段に上がるそうです。火加減が難しくなるのでなかなかお目にかかることのない調理技法です。
モリーユ茸たっぷりのクリームソースをかけた贅沢な料理です。
(ちなみにモリーユ茸も100gで2,000円ほどする、超高級キノコです)
ブレス鶏とモリーユ茸という豪華食材をふんだんに使いながら、残念ながらお腹いっぱいな上に、やはりホワイトソースが油っこくあまりたくさんは食べられませんでした。せっかくの食材だけに非常に残念です。
Selection de fromages frais et affines "Mère Richard"
チーズセレクションです。
ワゴンサービスです。すごく色々な種類があって、きっとどれもすごいチーズなんだろうなと思いながら、何も食べられない状態です。
アラカルトでチーズセレクションを頼むと€35(税サービス料を入れると5000円以上!)と思うと絶対自分では頼まないですね。
私の頼んだチーズです。
セミハード系のものを中心にオーダーしました。年数が経っていてどれも美味しかったです。
奥さんが頼んだチーズです。左側はフレッシュなヤギのチーズ。
手前はお店の人お勧めのハード系チーズ。真中がカマンベールです。
チーズを食べ終わるとデザートがワゴンで出てきました。
好きなデザートを好きなだけ、というのがポールボキューズのスタイルのようです。
こちらはアイスクリーム、フルーツ、ベリーのカクテルなどです。
こちらのワゴンはケーキの山。
デザートワゴンではなんとベルナシヨンのチョコレートケーキも選ぶことが出来ます!
リヨンのベルナシヨンというと日本でも意外に有名で、検索をかけるとものすごくたくさんのページがヒットします。中でもこの花びらのケーキ「ガトープレジダン」は看板メニューともいえる逸品です。
ベルナシヨンは世界でもリヨンの1店舗しかないのに、なぜポールボキューズで味わうことが出来るか不思議ですね。実はポールボキューズの娘さんがベルナシヨンに嫁いだことからレストランでサーブされるようになったようです。
私が選んだのはチョコレート。濃厚なチョコレートがぎっしり詰まったデザートです。
こちらはクリームブリュレ。ポールボキューズのスペシャリテです。
スペインのクレマカタラーナをベースに、今の形にしたのがポールボキューズなんです。甘いカスタードクリームを焦がした、あの味です。
こちらはもうひとつのスペシャリテ、ウアラネージュ。
メレンゲをカスタードクリームのソースであるアングレーズソースに浮かべたデザートです。何か特別なものかと思ったら、見た目通りの味でした。
こちらはレモンのタルトとチョコのタルト。
どちらも見た目通りの味。
もちろんガトープレジダンも頂きました。バニラビーンズがはっきりと見えるほどたっぷりはいったアイスクリームを添えてくれました。
こちらはワインにベリーを浮かべたカクテル。ワインはアルコールを飛ばしてあり、甘酸っぱいデザートでした。
デザートについてはあまり三ツ星レストランの素晴らしさを感じることはありませんでした。一品一品、悪くはないのですがインパクトにかけるというか、「質より量で勝負」というスタイルが全面に出ていて残念でした。このスタイルが悪いというわけではありませんが、少なくとも私は好きでありません。
また、デザートで非常に残念なことがありました。
一組一組がワゴンで食べきれないほどのデザートを選択するのですが、案の定結構な量が手つかずで残ってしまいます。
一瞬の出来事ではありましたが、スタッフが手つかずのデザートをワゴンに戻したのです!
レストランとして、信じられますか?
ワゴンから離れて、客のテーブルに出したものを、再度ワゴンに戻すというとんでもない行為を。
美味しい美味しくない以前の問題ですね。非常に残念です。もう二度とポールボキューズの本店を訪れることはないでしょう。
最後にさらにプチフールを頂きます。
どうやら持ち帰りもできるようでしたが、頑張ってその場で食べました。
帰り際には キッチンも見せてもらうことが出来ました。ものすごく広いキッチンなのに整然としており、やはりこういうところはさすが一流レストラン何だと思います。
気になるお値段は¥66,628!!!
たっか!!!
もちろん、材料なども最上のものを使っているし3つ星レストランのスペシャリテのフルコースなので仕方ないんですけどね。
7.感想
私が今までいったレストランに比べて、残念ながら満足度が低かったです。
どちらかというと今までは先進的な料理のレストランが多かったのですが、ポールボキューズは完全なフランス伝統料理でした。もちろんオーダーしたのがグランドトラディショナルコースなのがいけなかったのかもしれませんが。
ただ料理は全体的に脂っこく、クリームやバターが多いので非常に疲れる食事でした。
コンセプトとしてはたっぷりの量でゲストをもてなして、贅沢さや豪華さを見せ付けられる感じがあります。そういう、これでもかと言わんばかりに出てくる量がまた疲れる原因のひとつかと思います。全体的に残すことを前提とした量になっています。
デザートワゴンも非常に残念です。どれもまずくはないし、そこそこ美味しいのですが一品一品は印象に残るものではありませんでした。インパクトのあるデザートを出すことが出来ないからワゴンでごまかしている、という印象を受けました。
貧しかった時代の成金趣味的な発想でしょうか。これが受ける時代もあったとは思いますが、残念ながら今の時代にはあっていないように感じました。
少し辛口な評価になってしまいましたが、それでもやはりポールボキューズは伝説の料理人であり、みんなが一度はいってみたいと思うレストランであり続けると思います。
気軽に行ける値段ではありませんが、訪れるなら過度な期待を持たずに行くとよいかと思います。